はじめに
「〇〇さんって本当に優しいよね」
「よくそこまでやってあげてるね」
「利用者さんからの信頼も厚いし、助かる」
そんな言葉をかけられる介護士ほど、
実は誰にも見えないところで限界ギリギリの働き方をしていることがあります。
やさしさは、介護職の大きな強み。
でも、そのやさしさが自分を壊してしまう瞬間も確かにあるのです。
現場で起きている“やさしさの暴走”
- サービス外の依頼でも断れず、無理して対応
- 他の職員が気づかないような細かい気配りを積み重ねる
- 苦手な利用者・家族にも丁寧に接しすぎて精神的に疲弊
- チームでは「いい人枠」として黙って負担を背負い続ける
本人は「頼られているから」「私がやらないと回らない」と思っている。
けれど、その気づかれない負担が少しずつ心と体を削っていきます。
優しさが“当たり前”になっていく怖さ
一度「やってくれる人」として見られると、
現場ではそれが“普通”として扱われていきます。
- 他の職員は「〇〇さんなら大丈夫」と任せる
- 利用者や家族からも「前はやってくれたのに」と言われる
- 管理者も「文句を言わずやってくれるから」と配慮しない
そして、本人が苦しくなったときには、
「今さら言い出しにくい」「もう限界だけど迷惑をかけたくない」
と、声を上げられずに一人で崩れていく。
自分を守ることは、仕事を続けるために必要な力
やさしさや責任感は、介護士にとって誇るべき資質です。
でも、それを“止めどなく注ぎ続ける”ことは、
プロとしてのケアを継続するうえで危険な働き方でもあります。
- 断るべきことを冷静に判断する
- 自分の限界に早めに気づく
- 助けを求めることを“迷惑”と考えない
- チームで分担する意識を持つ
「頑張る」だけでは、良い介護は続けられません。
周囲ができるサポート
- いつもよく動いてくれている人ほど、注意して見る
- 「助かってるよ」だけで終わらせず、「無理してない?」の声かけをする
- 管理者が“頑張りすぎる人”に仕事が偏っていないか定期的に確認する
- 本人が遠慮して言えないことを、代わりに汲み取れる関係性をつくる
「誰かに頼っていい」「あなたがいなくても回る」
そんな空気を職場につくっていくことが、介護士を守る職場づくりにつながります。
おわりに
やさしさは、介護の力です。
でもそのやさしさが、自分を壊してしまっては意味がありません。
介護はチームでやるもの。
誰かが一人で抱え込まなくてもいいように。
誰かが潰れてから気づくのではなく、
みんなで“守り合える”現場を、今からつくっていきましょう。

